RJ.Shimada(葛西早朝探鳥会 担当)
1. 始まりは、五目固焼きそば。
「あの通知見ました?グローバルビッグデーってやつ。」
それは探鳥会終了後、探鳥会の担当同士で昼食をとっていたときの雑談から始まりました。
「あ、eBirdから来ているイベントお知らせのメールですね。」とハナさんがすぐ反応してくれました。
「あれ、やってみません?」と俺。
いつもなら連携イベントなんて参加するような性格ではないんですけど。口をついて言っちゃいました。
多分、その時食べた五目方焼きそばが美味すぎたんでしょうね。いつもより気分が良すぎたんです。
きっと、ハナさんが食べてた定食も美味しすぎたんでしょうね。即決。
「私も気になってたんですよ。やりましょう!」
2. Global Big Dayって何だっけ?
一応、頭の中で、整理。
「Global Big Day」とはアメリカのコーネル大学が中心になって立ち上げたインターネットサイト「 e-Bird」の世界的なイベント。日時を決めて1日のうちにどこで、どれだけの鳥を見たかを記録し、その数を競うものです。最近になって公財日本野鳥の会も連携して日本語サイトでも見られるようになりました。この企画のポイントはこの記録を全世界が共有し、それを地球規模の生態調査に結び付けられる点にあります。こういうところはアメリカ人の発想力って本当にすごいと思います。
以前、昨年までのレポートをネットで見たことがあります。どれどれ再チェック。
メキシコのチーム。記録種類500??
インドのチームの記録エリア。インドほぼ全土???
コスタリカのチームの観察種類。カザリキヌバネドリ?ナニコレ????
いやいやいや!無理無理無理!!
こんなの太刀打ちできるわけないじゃん!
はい終了ー。でもちょっと待って下さい。
https://ebird.org/globalbigday
3. そもそも、鳥見ていっぱい記録とって何が楽しいの?
これまで俺はむしろその対極だったんですよね。
1羽のムジセッカを見るために7時間、真冬の葦原で座っていたこともあるし、基本的に待って見る派。
せいぜい、公園散歩してカモ類5種類見たねー、と満足する程度。
1日でいっぱい見て、記録する?意味わからん。と。
ですが、先に結論を言いましょう。
「やってみると、意外と楽しい!」
今は、SNSで繋がりつつ、リアルタイムに「今ここだよ!」「これ見たよ!」と連絡が来て、あの人すげーな!と思いつつ、記録をアップロードすると現在国内何位って分かるので、「よしっ!ここでもう1種を見つければ30種類でトップ!」となったりして、かなり刺激的なオンラインゲームみたい。
しかも、それが世界の生態調査や、自然保護の研究の資料のひとつとして今後ずっと自分の「見たよ」が残ることになるんだって思えたら、ズルやインチキやる意味よりもずっとモチベーションが上がります
4、ハナさんはすごい人です。
分かってましたよ。ハナさんがすごい人だって事。
家に帰ってPCを立ち上げて、ハナさんのスーパー能力を再認識しました。
Facebookにグループトークが立ち上がり、 Messengerに「みんなー、ebirdにチーム登録したよー」
「各自当日までにアカウント取ってチームに共有してみてね。」と連絡が入っていました。
最終的にメンバーは8人。配置はこうなりました。
しまだ・・・早朝葛西探鳥会・谷津干潟・三番瀬・浦安
ハナさん、コジさん、いそひよさん
・・・朝から移動して昼前から奥日光
マリさん・・・神奈川西部
ごめさん・・・三宅島
けーさん・・・千葉県郊外部
にーさん・・・京都府低山
「すげえ・・・」
「口開いてる。」と奥さんからツッコミ受けました。
5. 当日。
当日。関東地方は予報通りの本降りの雨。風も強いので早くも波乱の予感です。
ただ、午前中に各地とも急速に天気が回復していく予定なので、それに賭けることになります。
早朝の6時30分に葛西臨海公園付近の駐車場に到着。早くもにーさんからMessengerが入っていました。「おはようございます。鴨川から始めて、比叡山登ります」。早いなー。一方で三宅島のごめさんから「イイジマムシクイとタネコマドリは押さえました!」とコメントが。さすがです!こっちも負けていられませんね。
早朝葛西探鳥会のオープニングトークでこの企画を説明。
「こんな天気ではありますが、日本だって結構やるんだぜ!って、世界に示したいのです。皆さんのコレ見たよ、という一声が必要です!今日は協力お願いします!」と力を入れてアピールしました。そのお陰か、いつもより参加者の皆さんから「ねえ、あっちでトビ見たよ。それからね。」と積極的に声をかけていただきました。ありがたいです。そのたびに携帯に入力。
予報通り西なぎさに到着する頃には雨が上がりました。すると東なぎさで休息していたアジサシの群れが湧き上がるように飛び始めました。その数100…200・・・悠に300羽を超えています。最終的に650羽をカウント。こりゃすごい。携帯をチェックすると「奥日光はニュウナイスズメばかりです」とコメントが。何それめっちゃ見たい。探鳥会の終わりの挨拶でも各地のコメントをいくつか披露してみたところ、皆さんが結構面白がっていただけたみたいで、良かったです。
6. 転戦。
さて、午後からの動きです。葛西の次は谷津干潟へ移動。
早足で半周してみます。中央の干潟にハマシギが集まっていますね。休憩中なので座っている姿がキュートです。全体で200羽くらいかな。潮が満ちてきているので、移動していきていますね。この時間になると、他のメンバーのコメントも進みます。都市部の鳥や、山の鳥が増えてきましたね。
にーさん「ワカケホンセイインコ。」外来種もOKです。都市部の鳥!って感じですね。
けいさん「これなんだろ。逆光写真。」イソヒヨドリだ。これも都市でみるようになりましたね。
まりさん「クマタカ。」純粋にすごい!a
また移動して三番瀬をチェックします。すでに潮が上がっているので突堤でまとめて観察。隣に若いバードウォッチャーの方がいたので、声をかけて趣旨を説明。興奮気味に説明したから若干引いていたかもしれない。突然来て申し訳ない・・・。「ミヤコドリ、49羽ですよ。」とカウンターを示しながら冷静に答えてくれました。おお!ありがたい!自分史上最速で鳥を数えて撤収!コメントをチェック。
ごめさん「ムネアカタヒバリで本日終了―。」なんじゃそれ。すげーな。
最後は浦安海岸を目指します。事前にメリケンキアシがいるという情報があったのです。ですが、すでに陽が傾いてきています。気分は「ザ 鉄腕 DASH!」ソーラーカー企画。迫る夕闇。時間が惜しい。焦って双眼鏡を落っことす。脳内で再生されるロバート・マイルスの曲「Fable」。
ポイントに来たけれど、目の前で人が入って、休んでいた鳥が全部飛んでしまった!ショック!立ち尽くす後ろで「ギュイー。」という鳴き声。ありがとう。オナガ。1種増えたよ。
というところで終了―。
7. 結果発表。
最終的に日本全体では176種を記録して世界の68位にランクイン。ちなみに世界で1位はコロンビアの1554種。世界はすごいですね。チームとしては国内ランキングではダントツの1位で104種。アジア州で48位。まあ健闘したんじゃないでしょうか。副産物としてチームメンバーが観察した場所が日本のホットスポット10位のうち6か所を記録するという奇妙なことになってしまっていました。
いやあ、遊んだ、遊んだ。参加してくれたチームメンバー他、協力して下さった皆様ありがとうございました。こういうイベントって真剣にやればやるほど面白くなっちゃうものですね。Messengerにも「楽しかったね。」「またやりたいね。」というコメントがあふれていました。
さあて。次は何をしようかな!
8. その続きは…
2023年3月11日(土)、葛西臨海公園で少人数のチームで観察種数を競うKasai Big Dayを企画しました。
是非、奮ってご参加ください。詳細はイベント紹介ページでご確認ください。
日本野鳥の会東京
Wild Bird Society of Japan TOKYO
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