暑い夏、公共交通機関で富士山の避暑探鳥
7月になると月例探鳥会もお休みのところが多くなり、暑いのもあって鳥見は億劫になりがちです。そんな時は避暑がてらで富士山に行きましょう。
「富士山?山に登るのなんてとてもじゃないけど無理」とか「車は持っていないしなぁ、、、」って言う人、そんな心配はいりません。富士山5号目は自家用車なんてなくてもバスでピューっといって来れるのです。いつもの渋滞もバスなら寝ておけばいつかは着きます。楽ちんですよ。なお、富士山は7月中旬からマイカー帰省になるので、バスで行くならその時期が富士山駐車場での渋滞がないのでおすすめです。
富士山にバスで行くには、新宿などからの高速バスか、もう1つの最近のおすすめは登山者用のバスツアーです。
定期高速バス
都内では、新宿、東京、横浜などから富士山5号目行きの高速バスが出ています。以下、私のよく行く吉田口五号目と、須山口登山道の弁当場を紹介します。高速バスはハイウェイバス.comなどで予約しましょう。
吉田口(お中道・奥庭)その1
富士山探鳥と言えばまずは奥庭、というほど定番の吉田口です。
新宿バスタは、始発が6時45分です。そのあとは7時55分ですが、途中渋滞を考えると早い方が良いでしょう。前回も6時45分のバスでも50分遅れで到着は10時10分でした。
6:45 バスタ新宿 → 富士山5号目(吉田口)
(途中7:05中央道三鷹、7:11中央道府中などでも乗車可)
(探鳥)
17:00 吉田口 → 多少遅れて20時ごろバスタ新宿
吉田口に着いたら、トイレを済ませてから登山道とは逆方向に、お中道を2〜3時間かけて鳥の声を聞いたり探したりしながら奥庭まで移動します。この間は、ヒガラ、ルリビタキ、メボソムシクイ、キクイタダキ、ビンズイ、カヤクグリ、ウソ、ホシガラスなどを見ることができます。
13時過ぎを目処に奥庭荘に到着しましょう。昼を過ぎると朝早くから来ていたカメラマンは帰る頃なので、比較的落ち着いて観察ができます。富士山は溶岩石が多く水たまりがほとんどないため、奥庭荘の小さな水場には小鳥達(たまにはホシガラスも)がかわるがわる現れ、間近で見ることができます。庭で観察させてもらうので、お昼ご飯は奥庭荘でいただきましょう(注文して鳥を見ていれば、できたら呼んでくれます)。水場以外にも奥庭展望台の方まで歩くと、天気が良ければ富士山がとても綺麗に見えます。2時間程度観察したら、路線バスで吉田口5号目まで戻ります。早めに戻ったら、吉田口の神社や展望台あたりや、お中道を少し歩いてもいいでしょう。
帰りは17時発のバスで新宿に向かいますが、多少渋滞で到着は遅れると思います(前回は20時過ぎ着でした)。
須山口登山道(弁当場)
ここは富士山の5号目ではなく標高1000m程度の裾野(市)です。行くのはちょっとめんどくさいけど、5号目に比べて鳥の種類が多く、特にコルリが観察できるのでお気に入りの場所です。
新宿から箱根方面行きのバスにのってJR御殿場駅まで行き(8時半ごろ到着)、そこから駅の反対側からぐりんぱ方面のバス(8時半もしくは9時発)で牧場入口まで行きます(約30分)。なお、JR御殿場までの高速バスは多少遅れるので、1000円くらい高くなるけど小田急特急を使える場合はそちらの方が良いかもしれません。
6:35 バスタ新宿 → 8:20 JR御殿場
(途中6:52池尻大橋、7:21東名大和などでも乗車可)
8:30(or9:00) JR御殿場→ 9:00(or9:30)牧場入口
(探鳥)
15:07(or16:47) 牧場入口 → 御殿場 16:05(or17:35) →18:00(or19:30) バスタ新宿(御殿場からはJR・小田急の方が良いかも)
バスを降りたらバス道から右に入り、草原の中の道を富士山を見ながらまっすぐ歩きます。草原やその先の林からはカッコウやホトトギス、オオジシギなどの鳴き声が聞こえます。
富士山資料館を過ぎて少し先、自衛隊演習場入口の左脇から須山口登山道が始まります。左側は沢、右は農地の林の中を歩くので、ホオジロ、モズ、カケス、アカゲラ、キジなどなどいろいろな鳥がいます。もう少し進むとキビタキの声も聞こえてきます。そのうち、車道に出ますが、そこで引き返さず少し歩くと、また右側に登山道が続きます。この先に少し行くと、弁当場という水の湧き出ているところがあります。この先、沢沿いを緩やかな道に沿って登っていきますが、コルリ、オオルリ、アカハラ、クロツグミ、イカル、サンコウチョウなどいろいろな声が聞こえてきます。コルリも暗がりをじっくり探せばきっと見つかりますよ。
沢沿いに歩くとそのうち少し高台に上り、林の中を歩きますが、もう一度沢に降りたあたりでこのコースはほぼ終わり、来た道を引き返します。なお、元気がある人はその先の水ヶ塚あたりまで行けばコマドリもいるそうですが。。。帰りのバスは本数が少ないので、時間配分に気をつけてください。
須走口5号目(まだ行ったことない)
御殿場から8:35のバスに乗れば、9:35には到着するようです。
ここはまだ行ったことがないので、いずれ行ったら記事にします。見れる鳥は、ビンズイ、ルリビタキなど、吉田口と似たようなものなのかな。
登山者向けバスツアー
富士山登山ツアーで5合目探鳥に行く方法です。一般に募集しているサンシャインツアーの富士山登山者を対象としたバスツアーですが、車を使わない人が富士山5合目での野鳥観察に活用すると便利なので紹介します。
このツアーは、新宿駅を夜の9時半出発し、1時過ぎに富士宮市の温泉施設に到着。吉田口の場合は約1時間後に出発し3時半に到着、一方、富士宮口の場合は仮眠・朝食後の朝7時出発で8時に到着。帰りは夕方5時か6時頃に現地発、夕方7時ごろに温泉設備に寄って、晩御飯とお風呂の後、新宿には22時半到着(渋滞で少し遅れることはある)です。金土など多少高くなりますが、概ねバス代・帰りの夕食・お風呂などがセットで9千円〜1万円と非常にリーズナブルです。なお、事前に予約すれば弁当(800円)を用意してくれます。
富士宮口(宝永山火口)
富士宮口に都内から行くには、車以外だと電車・バスの乗り継ぎでかなり大変なので、このツアーは大幅に手間が省けます。
21:30 新宿都庁近く → 0:30 温泉で仮眠 7:00 → 8:00 富士宮口
(探鳥)
18:00 富士宮口 →19:00 温泉・食事 20:30 → 22:30 新宿駅
富士宮口5合目に8時に到着したら、一旦駐車場の西端で最後の無料トイレに行ってから、東端のブル置き場の横から出発です。富士山自然休養林歩道に入り、ガレ場を少し上り、宝永山火口、富士宮6合目(有料トイレあり)と回ります。
富士山自然休養林歩道ではルリビタキ・メボソムシクイがやたらと鳴いていますが、ヒガラやキクイタダキ、大型ツグミの鳴き声にも注意しましょう。途中の沢ではアマツバメが風切り音を立てながら飛んでいるかもしれません(ゆっくり歩いて1時間程度)。
歩道を抜けるとガレ場です。標高差は50mくらいですが、とても歩きにくいです。でも急いで登る必要ありません。森林限界付近の変化を感じながら、ルリビタキ、カヤクグリ、あとたまにウソが目立つ枝の上に留まって鳴くのでそれを見つけましょう。私はここを上るのに2時間かけたこともあります(弁当食べたり温泉で買っておいたパウチのワイン飲んだり…)。ガレ場を上り切ると岩場になるのでイワヒバリを探しましょう。そこにいなければ宝永山火口の広場まで下りて探しましょう(ガレ場を含めて3~4時間程度、宝永山には上らない)。
その後はルリビタキ、カヤクグリなどを探しながら6合目の休憩所を目指します(歩くのは30分程度)。ここにはうどん以外にもビールやおつまみ、そして有料トイレがあります。14時に来た道を戻り始めれば、17時過ぎには集合場所につくでしょう。
最近行った時の観察記録(eBird)
吉田口(お中道・奥庭)その2
吉田口には都内から定期バスがいくつか出ていますが(上で紹介済み)、日の出のさえずりを聞きたければこのツアーは有効です。特に、ヨタカの鳴き声は日の出の時間帯しか聞けません(このツアーを使っても聞けるとは限りませんが)。
21:30 新宿都庁近く → 0:30 温泉で休憩 2:00 → 3:30 吉田口
(探鳥)
17:00 吉田口 →19:00 温泉・食事 20:30 → 22:30 新宿駅
朝の3時半に吉田口に着くので、日が昇るとともに赤くなる富士山や下界の様子を見ていると、ルリビタキを皮切りに、ミソサザイ、メボソムシクイが鳴き始めます。明け方はまだ寒いので、Tシャツに一枚羽織るものがあったほうが良いでしょう。
前回は、日の出の後は少し下って泉ヶ滝の少し下まで行って、大型ツグミ類の囀りを聞きました。ただ日が上ると登山客が多くかなり賑やかになってきます。
その後はお中道経由奥庭近辺に行きました。お中道でまっすぐ歩けば1時間で奥庭につきますが、時間は大量にあるので途中でもルリビタキ(幼鳥もちらほら)、メボソムシクイ、カヤクグリ、ウソ、ホシガラスなどをじっくりと探しましょう。奥庭についたら水場が有名な奥庭荘でのんびりするのもよし、その先の遊歩道で探すのもよしです。奥庭から吉田口にには路線バスで戻りますが、時間が適当なのでご注意ください。少し早めに吉田口に戻って、お土産など探すくらいがいいかと思います(このあたりはその1を参照)。
なお、このコースは日の出前に着き時間があり過ぎるので、今度行くときはもう少し周辺で足を広げたいと思います。