増田 徹(Young探鳥会担当)
2020年4月11日土曜日。新型コロナウイルスにより中止になったふれあい松戸川Young探鳥会。私にとっては自転車で15分ほどの場所に位置している、馴染みのフィールドでもあり、参加者の方にいつも見ている鳥たちをご紹介できるのが楽しみでした。もし探鳥会を行っていたらどんな鳥たちに出会えていたのだろう?ということで、本来ならば探鳥会をやっていたであろう時間帯(10時半~12時頃)にひとりヤン探をやってみました。無理やり行った気になってみてください!
簡単にフィールドの紹介をしますと、江戸川の支流である坂川の水質汚染が進んだため、浄化施設を通した水を下流へとバイパスするために作られた川がふれあい松戸川です。江戸川とふれあい松戸川によって形成される河川敷は、葦や木々が生い茂り、水辺や草原性の鳥類を中心とした探鳥を楽しめます。
奥に見える川が江戸川、手前の小川がふれあい松戸川
さて、この日の天気は気持ちのいい快晴。土手から河川敷を見下ろすと、一面の菜の花が目を楽しませてくれました。そして聴こえてくるヒバリ、ヒヨドリ、ホオジロなどの声が期待を高めてくれます。さあ、早速探鳥開始です!
土手を降り、江戸川とふれあい松戸川の間の小径を探索。すると葦の隙間からカワセミが鳴きながら飛んでいくのを発見。もっとちゃんと見たいと思い、川岸に近づいてみると足元にいたカルガモとヒドリガモが驚いて逃げていく。やっちゃった、ごめんなさい!心の中で謝りつつ気を取り直して歩いていると、頭上の梢からホオジロの囀りが。「一筆啓上仕り候」が有名ですが、これは主に東の聞きなしで、西では「源平つつじ白つつじ」というそう。皆さんにはどう聞こえますか?私は「一筆」まではそう聞こえるように思います。この見事な囀りが評価され、今ではホオジロは春の季語とされています。しかしその歴史は意外と浅く、昭和18年刊の山谷春潮の野鳥歳時記からとされており、それ以前は秋の季語とされていたようです。斎藤茂吉が春の題で、春の季語を添えホオジロの囀りについて詠んだ際、高浜虚子にホオジロは秋の季語ですと訂正され憤慨したというエピソードも残っています。
一筆啓上仕り候!囀るホオジロ
その後、エナガやシジュウカラ、スズメやムクドリ、アオジといった小鳥を堪能し、小径を引き返し今度は花畑のある上流方向に向かって歩いていきます。このあたりは今回のメインターゲット、キジがよく出るスポット。キジは大きい身体の割に驚くほど上手に身体を隠すので、探すのはやっかいですが、春はケーン、ケーンとよく鳴くので良い目印になります。
しかしどうしたことでしょう、鳴き声が全然聴こえません。おかしいな…。他の鳥も全然見られないまま花畑に着いてしまい、これはヤン探を開催していたらちょっと残念な結果になっていたぞと思いました。
花畑ではモズやヒバリの姿を確認。この日のこの光景のように、晴れた日に囀る、ひはる(日晴)の意味がその名の語源とするというのが定説なようですが、少しくらい雨が降っていても囀るそうです。また、ピーパルピーパルとも聞こえる鳴き声由来の名前という説もあるようです。山階芳麿の著書には、昇る時は「日一分、ヒイチブ…」、降りるときは「月二朱、ツキニシュウ…」と鳴くというのが、面白くかつ当っていると思うと書かれているものがあるようで、そう言われるとなんだかそう聞こえてきます。ひと月の利子より1日の利子の方が高いんですね。
ヒバリはあちらこちらで囀る声が聴こえました
本来であれば、この花畑で鳥合わせの後、お弁当、懇親会ですが、1人なので省略。来た道を引き返していると近くでキジの鳴き声が聴こえてきました。少し驚いて目を向けると、ホロ打ちをするキジの姿が!最後の最後にキジの姿を確認し、江戸川およびふれあい松戸川を後にしました。
ホロ打ちまで見ることができ、心の中で歓声が
確認できた種:キジ、ヒドリガモ、カルガモ、カイツブリ、カワウ、コサギ、カワセミ、モズ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒバリ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、ムクドリ、スズメ、ホオジロ、アオジ(計19種)
日本野鳥の会東京
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