Covid Quarantine Birding冬編② オシドリとツグミ

平中 直也(葛西臨海公園探鳥会 担当)

Social distancing に気をつけながら、我が街豊洲にて。普段はあまり目を向けないような普通すぎる野鳥をシリーズで紹介していきます。COVID-19の感染拡大でまた外出自粛モードになりつつあるので、Covid Quarantine Birdingシリーズを時々書きます。今度は冬鳥編です。

 

 「鳥のオシドリの夫婦は1年間は仲がいいんだけど、1年経つと他のところに行っちゃうんだって。オレもオシドリ夫婦になりたいね。」

高田純次の有名なジョークです。

 

「オシドリ夫婦」という言葉で有名なオシドリですが、仲のいい夫婦の意味とは反対に、毎年パートナーを替えるという生存戦略をとっている鳥です。

 

ところでオスのオシドリの模様は本当に美しい。どうしたらこんな複雑で美しい羽になるのか不思議です。

 

水辺の木陰を好み、開けた水面にはあまり出てきません。紅葉の季節に木陰から泳ぎ始めると、写真のようなインスタ映えする「紅葉とオシドリの美しいコラボ」を見ることができます。

 

オシドリの英語名はMandarin Duckで中国のカモ。元来は東アジアだけに生息するカモです。遺伝子レベルでは北米に生息するアメリカオシ(Wood Duck)の唯一の近縁種です。

 

不思議なのですが、近縁種同士だとなぜ

 アジア=オレンジ色

 北米=緑色

になるのでしょう?

ヒドリガモも同じです。日本で見るヒドリガモはオレンジ色だけど、アメリカヒドリは緑色。オシドリもアジアはオレンジ色で、アメリカオシは緑色。

 

ともあれ、オシドリが見られる季節になると、その美しさゆえに、たくさんのオシドリの写真がSNSに投稿されます。そしてオシドリは山形県、鳥取県、長崎県の県鳥になっているのです。



 ♫「愛してる」それだけじゃ足りないけど 言わなくちゃ

嬉しいとか 寂しいとか 君に生かされてる

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スピッツのヒット曲「つぐみ」は、こんなストレートな恋人への想いで始まります。

 

そして「海原を渡っていくツグミのように、この気持ちを君のもとへ伝えに行きたい」、という想いがメロディとなって流れていきます。

このロマンチックな歌詞のように、ツグミは冬にユーラシア大陸から越冬のために海を渡って日本にやってきます。

 

英語名はDusky Thrushで「黒っぽいツグミ」という意味です。だけど羽は赤味がった褐色で、とても綺麗です。(ちなみにクロツグミの英語名は「Japanese Thrush」→ニホンツグミ です。)

 

基本的には東アジアに生息します。しかし何を間違えたのか、2016年にたった1羽、イングランドのダービーシャーに突然現れ、イギリス中のバーダーが集まって大騒ぎに。その様子がBBCで放送でされました。冬に日本に来てくれたら普通に見れるのに、、

 

さて代表的な冬鳥であるツグミですが、年によってたくさん見れる年もあれば、あんまり見れない年もあります。ただ数が少ない年でも冬の公園に行けば確実に見れる鳥です。写真のような愛くるしい姿を観察してみてください。

 

そして時には木枯らしが吹く冬の街角で、海原を渡ってくるツグミに「大切な人に気持ちを伝えたい自分」を重ねてみてはどうでしょう?

歌の歌詞のように。



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