『48年目の三宅島』

西村眞一(中西悟堂研究家/善福寺公園探鳥会担当)

 某旅行会社のツアーで、5月23日夜に竹芝桟橋から東海汽船の貨客船“橘丸“に乗船して、24日25日と三宅島に行ってきた。

今回で三宅島は4回目だった。最初は今から48年前の1977年5月1日に、日本野鳥の会東京支部(以下当会)の「三宅島探鳥会」で行った。

前日の4月30日の夜に竹芝桟橋を出港し、5月1日早朝に三宅島に到着して、半日探鳥し午後には東京に戻るという、夜行日帰り弾劾ツアーであった。

担当幹事2名を含め参加者は58名だった。

翌年の4月22日23日に当会のやはり夜行日帰り「三宅島探鳥会」にも参加した。

当時の東海汽船の三宅島航路の2等船室の往復交通費は、4,340円だった。5月現在の東海汽船の三宅島航路の2等船室の往復交通費は、消費税+燃料油価格変動調整金を含めて、18,140円である。

2年連続で「三宅島探鳥会」に参加したが、今では参加したといっただけで、何を見たか記憶がない。

唯一の記憶が2回目の時に、帰りの航路でオオトウゾクカモメを見た記憶だけである。

 3回目は9年前の2016年6月17日18日に、野鳥図鑑画家の谷口高司さんに誘われて、三宅島に行ってきた。3回目も今回も宿は、「日本野鳥の会:協定旅館」である“新鼻(にっばな)荘であった。

 

新鼻荘

 

 5月24日5時過ぎに小雨の中三宅島錆ヶ浜港に着いて、三宅島村営のバスに乗り、伊豆崎へと向かった。伊豆崎でのお目当ては、夏鳥のウチヤマセンニュウである。雨の中、声はすれども姿が見えずだったが、やっと姿を見ることができた。

 

ウチヤマセンニュウ 5月24日

 

 その後もバスで三宅島各所を探鳥した。アマツバメが頭の上を飛び交ったり、ホトトギスが鳴きながら飛ぶなどしていた。

三宅島は火山の島で、1983年には阿古地区での噴火、2000年の雄山の大噴火があり、今でも雄山環状林道から山頂エリアは、三宅村の条例により立ち入り禁止となっている。

1983年の噴火時の海底爆発により、新鼻新山が誕生した。

 

新鼻新山 5月24日

 

 三宅島を代表する鳥と言ったら、アカコッコである。

アカコッコは、伊豆諸島と鹿児島県のトカラ列島のみで繁殖するツグミの仲間で、日本固有種である。今回は(公財)日本野鳥の会のレンジャーが常駐している「アカコッコ館」の近くで、姿を見ることができた。

9年前には「新鼻荘」の庭先に現れたアカコッコの雄を撮影した。

 

新鼻荘 5月25日

 

2016年6月19日 アカコッコ雄 新鼻荘

 

このアカコッコの写真は、日本郵政東京支社が企画し、当会が野鳥写真を提供して、2019年6月28日に東京都内の全郵便局で販売した『東京の野鳥 オリジナルフレーム切手・ポストカードセット』で、シール切手となった。

 

アカコッコ切手

※現在は販売されていません。

 

 アカコッコと共に三宅島を代表する鳥に、オーストンヤマガラがいる。

ヤマガラの亜種で、三宅島、御蔵島、八丈島に生息している。

本土にいるヤマガラとの違いは、オーストンヤマガラの顔や胸のレンガ色が、ヤマガラより濃い点である。

 

オーストンヤマガラ 5月25日 新鼻荘

 

ヤマガラ 2017年2月27日 山梨県西湖野鳥の森公園

 

あと亜種ではないが、いつも見慣れているヒヨドリと比べてみると、三宅島のヒヨドリは全体的に色が黒ぽい。

 

ヒヨドリ 5月25日 新鼻荘

 

 25日13時30分に、三宅島三池港を往きと同じ“橘丸”に乗船し、今度は甲板にて海鳥の観察である。

 

橘丸 5月25日

 

 海上では、オオミズナギドリが飛び交っていた。

 

オオミズナギドリ 5月25日

 

オオミズナギドリ 5月25日

 

出港から2時間30分余りで、伊豆諸島の大島が見えてきた。

 

伊豆大島 5月25日

 

大島沖から、クロアシアホウドリが現れ始めた。

クロアシアホウドリは、翼を広げると2mはある大型の海鳥である。何とか、クロアシアホウドリの飛行写真が撮れた。

 

クロアシアホウドリ5月25日

 

クロアシアホウドリ 5月25日

 

 アホウドリの仲間の写真が撮影できたのは、45年前の1980年1月5日に、釧路東京間のフェリー船上からコアホウドリを撮って以来となった。

 

コアホウドリ 1980年1月5日

 

 船が東京湾に入ってからは、ハシボソミズナギドリが現れ始めた。

房総半島をバックに、ハシボソミズナギドリが飛んでいた。

 

ハシボソミズナギドリ 5月25日

 

ハシボソミズナギドリ 5月25日

 

 ツアーの参加者から、最上階の甲板に落鳥したオオミズナギドリがいると、教えてもらった。

 

橘丸最上階甲板 5月25日

 

オオミズナギドリ 5月25日

 

 今回のツアーでは、24日が雨模様だったので、鳥の姿が少なかった。

それでも帰りの航路でイルカのジャンプが見られたり、念願のクロアシアホウドリに出会えたので、満足するツアーとなった。

ちなみに1977年1978年の当会の「三宅島探鳥会」では、クロアシアホウドリは記録されなかった。

また5回目の三宅島に行きたくなりました。