澤本 将太
前編で説明したカモ類の見分け方の3つのコツを踏まえて、後編はカモ類の雌の識別に挑戦する。
◆挑戦、カモ類の雌の識別!
3点のコツを踏まえて、都市公園でよく見られるカモ類の雌の識別(上述7種)をおさらいする。雄生殖羽の画像も添えるので、雄とセットで覚えてほしい。
◆コガモ Anas crecca Eurasian Teal 全長34-38㎝
・キジバトくらいの大きさ。
・嘴は褐色で付け根の側面に黄色味がある個体もいる。冬は付け根に黒斑が出て黒みが増す。
・雨覆は灰褐色で、次列風切との間にある部分は薄い橙色で淡色の帯がある。
・翼鏡は濃い緑色と黒の2色。
・脚の色はややピンク色みがある灰色。
◆ヒドリガモ Anas penelope Eurasian Wigeon 全長42-50cm
・ハシボソガラスくらいの大きさ。
・赤みのある体の色と、額がやや出っ張る頭の形もヒドリガモの特徴。
・嘴は他種より少し短めで、付け根の方は厚みがある。色は先端が黒、それ以外は水色のツートンカラー。
・雨覆は黒褐色で、羽毛1枚ずつに白いU字の縁がある。
・翼鏡は黒。
・脚の色は灰色。
◆ハシビロガモ Anas clepeata Northern Shoveler 全長43-56cm
・嘴は先端が広がるしゃもじのような形で、これが見えれば他のカモと間違わない(英名もShoveler)。嘴の色は褐色で、黒い斑の量は個体によりさまざま。雌の嘴は雄よりやや小さいので、雌雄が並んだ時に見比べてみてほしい。
・雨覆は薄い青色で、羽毛1枚ずつに白いU字の縁がある。
翼鏡との間の部分には白い帯が出ている。
・翼鏡は黒と緑。
・脚の色は鮮やかなオレンジ色。
◆ヨシガモ Anas falcata Falcated Duck 全長46-54cm
・嘴は黒一色
・雨覆は黒褐色で、羽毛1枚ずつに白いU字の縁がある。翼鏡との間には白い帯が出る。
・翼鏡は濃い緑色だが、日陰や陽の当たりが悪い角度では黒に見える。
・脚の色は灰色。
◆オカヨシガモ Anas strepera Gadwall 全長46-58㎝
・嘴は黒で側面はオレンジ色。黒い斑がちりばめられて、その量は個体によってさまざま。画像の個体よりも嘴が黒っぽい個体もいる。
・雨覆は灰色とえんじ色で、えんじ色の量は個体によりさまざま。 えんじ色の部分と、翼鏡の間の雨覆は黒っぽい色。
・翼鏡は白と黒。この配色になるのは今回取り上げた種ではオカヨシガモだけ。
・脚の色はオレンジ色。
◆マガモ Anas platyrhynchos Mallard 全長 50-65cm
・ハシブトガラスくらいの大きさ
・嘴はオレンジ色と黒の2色
・雨覆は褐色で、翼鏡を挟むように細い白線がある。
・翼鏡は青色。(下記画像では翼鏡は隠れて見えていない)
・脚の色はオレンジ。
・マガモ雌とオカヨシガモ雌に似ているが、マガモは一回り大柄であること、雨覆は黒褐色でえんじ色がない、翼鏡が青色という点で区別できる。
◆オナガガモ Anas acuta Northern Pintail 全長雄 61-76cn 雌51-57cm
・黒褐色な嘴は青みがある個体もいて、雄と同等な青色味がある個体もいる。
・雨覆は黒褐色で羽毛1枚ずつに白いU字の縁があり、翼鏡との間には淡い橙褐色の細い帯がある。
・翼鏡は光沢のある褐色で日陰だと紫に見える。
・脚の色は冷たい青色味がある灰色。
これから冬がさらに深まるにつれて、東京近郊でも渡ってきたカモ類の姿を見る機会が増えてくる。カモ類は開けた水面で見られるうえに、1度に何種もが集まっている。さらには動作もゆっくりしているため観察にうってつけだ。
ぜひ、双眼鏡と図鑑片手に出かけてみてほしい。
都市公園でカモの雌を覚えたら、カモ類の「観察しやすさ」という特権を活かし、採食や求愛ディスプレイといった行動の観察をしてみるのも面白いだろう。また、少しマニアックな話になるが「雌の生殖羽」を識別する、なんていう楽しみもある。
今回の記事を通して、姿が似通って頭を抱えやすい雌の識別へのニガテ意識が克服されて、冬の鳥見が少しでも充実することにつながれば幸いである。
この冬はカモをたくさん見てみるのはいかがだろうか?
【参考文献】
氏原 巨雄・氏原道昭 決定版 日本のカモ識別図鑑 (誠文堂新光社, 2015)
桐原 政志, 山形 則男他 日本の鳥 550水辺の鳥(ネイチャーガイド)(文一総合出版, 2000)
日本野鳥の会東京
Wild Bird Society of Japan TOKYO
〒160-0022 東京都新宿区新宿5-18-16 新宿伊藤ビル3階
Tel: 03-5273-5141
電話受付時間:平日[月・水・金]の12時~16時30分のみ